レガシーフリー化 (PCI, SCSI, MO, HDD)



レガシー

自宅で使用しているデスクトップPCの更改に向けて、 電源ユニットの購入設置ケース改造を行ってきた。 以前にも書いたように、現在使っているデバイスやメディアであっても、 更改後は使用できなくなってしまうものが多々あると想定している。 CPU、マザーボード、メモリ、HDD、OS は一斉に交換するつもりだが、 その他のデバイスはどうだろうか。

更改先は Haswell をターゲットに考えているので、 今のところまだ何も製品は出ていないし、具体的なスペックの発表もまだだ。 とはいえ、10 年近くも前に更改した現行 PC にくらべれば、 現在最新である Ivy Bridge 世代の製品に近いものになるだろう。 ということで、現行 PC には存在するデバイスやインタフェースで、 Ivy Bridge 世代の Intel Z77 チップセットを搭載したマザーボードには 存在しない、あるいは珍しくなってしまうものをピックアップしてみよう。

PCIバス

PCIe とか PCI Express とか言われるものとは別のものである。 最新のマザーボードでは、搭載しているものもあるようだが、 主流ではなさそうに見える。 そこで、ここに接続されているデバイス類について考える。 現行 PC では PCI バスに挿してあるカードは 1 枚だけである。

Adaptec AHA-2940U

PCIバスに挿してあるカードは Adaptec AHA-2940U という SCSI カードだ。 登場当時は、これぞスタンダードという感じで、 相当数が市場に出回ったのではないだろうか。 Windows XPはもちろん、Linux や FreeBSD などでも標準でサポートされていて、 何も考えずに使うことができ、このカードで動かないものは何もない、 ぐらいの勢いであった。

ところが、時の流れは無常であった。 SCSI離れが急速に進み、業界のデファクトスタンダードを作っていた Adaptec という会社も 消滅してしまった。ブランドとしては 残っている ので、完全になくなってしまったわけではないが、 AHA-2940U は、 Vista 以降でドライバが Windows に同梱されなくなり、 ダウンロードで 32 bit 版 Windows 用ドライバのみ提供になった。 64 bit 版 Windows 用のドライバは提供されていないようだ。 さらに、Windows 8 では 32 bit 版ドライバも提供されていない。

内部 SCSI 50-pin インタフェース

さて、AHA-2940U には内部 SCSI 50-pin インタフェースがあって、 その先に、MO ドライブと古い SCSI HDD を接続してある。

SCSI MO

内蔵型のMOドライブだ。 knoppix 7.0.2 で取った dmesg を抜粋すると以下のようになる。


scsi6 : Adaptec AIC7XXX EISA/VLB/PCI SCSI HBA DRIVER, Rev 7.0
        <Adaptec 2940 Ultra SCSI adapter>
        aic7880: Ultra Single Channel A, SCSI Id=7, 16/253 SCBs

scsi 6:0:5:0: Optical Device    FUJITSU  MCD3130SS        0020 PQ: 0 ANSI: 2
scsi target6:0:5: Beginning Domain Validation
scsi target6:0:5: FAST-10 SCSI 10.0 MB/s ST (100 ns, offset 15)
scsi target6:0:5: Domain Validation skipping write tests
scsi target6:0:5: Ending Domain Validation
sd 6:0:5:0: Attached scsi generic sg2 type 7
sd 6:0:5:0: [sdb] Attached SCSI removable disk

FUJITSU MCD3130SS という製品のようだ。 昔、230 MB の外付けMOドライブを使っていたのだが、 MOメディア自体がすたれ つつあった頃、格安で出回っていた内蔵ドライブを購入したものである。 確か、5インチベイ用のマウンタが付いていたのだが、 ケースの3.5インチベイが空いていたので、外してしまった記憶がある。 箱もマウンタも処分してしまったので、よくわからないのだが、恐らく、 富士通パーソナルズ SMB1300N だったのではないかと思う。 スペック的には Giga MO で 1.3 GB メディアまで使えるのだが、 1.3 GB メディアを購入した記憶がなく、以前から持っていた 128 MB, 230 MB メディアの他、後から購入した 640 MB のメディアしか 使わなかったような記憶がある。 その後、CD-RやDVD系メディア、USBメモリやSDカードなどを使うことが多くなり、 ほとんど使用しなくなって現在に至る。

とはいえ、過去の資産がそれなりに残っているので、 ドライブを維持するか否か、判断しなければならない。 維持するのであれば、以下の3つの選択肢があるだろう。

第一の選択肢は、AHA-2940U のドライバが問題となる。 今後の主流である 64 bit 版 Windows で使えないのは痛い。

第二の選択肢は、内蔵 SCSI 50 pin コネクタがあって、PCIe なカードがあるのか、 というのが問題となる。PCIe だと Ultra320 SCSI な製品は見かけるが、 コネクタの形もピン数も異なる上に、かなりのお値段だ。 もしかしたら変換することもできるのかもしれないが、カードの値段が高い上に、 変換コネクタ等の値段もかかるとなれば、とても選択できるものではない。

第三の選択肢は、最初は有望だと思っていた。 というのも、何年か前に USB-SCSI 変換アダプタ等を 店頭で見かけたことがあったからだ。 しかし、現在ではそういった製品はどこへ行ったのか、 店頭からは完全に姿を消してしまったようだ。 ネットで探してみると、 在庫限りで販売しているところを見つけることはできたが、 かなりのお値段だし、そもそもコネクタが外付け 50 pin なので、 内蔵 50 pin への変換が必要になってしまう。 また、USB-SCSI 変換は USB の割は標準ドライバで使えず、 別途ドライバが必要になる、というのもデメリットと感じる。

と、ここまでくると八方ふさがりで、どうにもならない。 そうすると、第四の選択肢「維持しない」を真剣に検討しなければならない。 であれば、PC更改までのに、すべての MO メディアを探し出し、 データをバックアップしてから消去、破棄、 ということを順次進めていく必要がある。 計画的に進めていかなければならないだろう。

SCSI HDD

もう一つ残っている SCSI デバイスだ。 knoppix 7.0.2 で取った dmesg を抜粋すると以下のようになる。


scsi4 : Adaptec AIC7XXX EISA/VLB/PCI SCSI HBA DRIVER, Rev 7.0
        <Adaptec 2940 Ultra SCSI adapter>
        aic7880: Ultra Single Channel A, SCSI Id=7, 16/253 SCBs

scsi 4:0:0:0: Direct-Access     IBM      DDRS-39130       S97B PQ: 0 ANSI: 2
scsi4:A:0:0: Tagged Queuing Enabled. Depth 32
scsi target4:0:0: Beginning Domain Validation
scsi target4:0:0: FAST-20 SCSI 20.0 MB/s ST (50 ns, offset 15)
scsi target4:0:0: Domain Validation skipping write tests
scsi target4:0:0: Ending Domain Validation
sd 4:0:0:0: Attached scsi generic sg1 type 0
sd 4:0:0:0: [sda] 17850000 512-byte logical blocks: (9.13 GB/8.51 GB)

2004 年頃の PC 更改前よりもさらに以前にメインで使用していた HDD である。 これを購入した頃は、EIDE HDD が主流であったが、 何となく行き当たりばったり感がする EIDE 規格よりも、 SCSI 規格の方がスッキリしていて筋がよく、魅力的に感じて購入した。 しかし、その後、 EIDE の方が ATA 規格として整備されていき、 一般的な PC 用途としては、 SCSI 規格の方がすたれてしまった。

現在、この HDD は、普段は電源コネクタを外しておき、 何かあったときだけ接続するような使い方をしている。 単に古い HDD なので、データを吸い出してバックアップし、 念入りに消去した後、処分すればよいだろう。 いずれにせよ、PCI バスや AHA-2940U を維持しないという選択にする限り、 更改後は読み出すことも消去することもできなくなってしまうので、 現行 PC のうちに実施しなければならない。

外部 SCSI 50-pin インタフェース

AHA-2940U には外部 SCSI 50-pin インタフェースもある。 以前は、ここに外付け MO をつないでいたり、 一時期 DVD-RAM ドライブを接続していたこともあったのだが、 MO は前述のとおり内蔵化したし、 DVD-RAM ドライブは ATAPI 内蔵ドライブに変えたりしたので、 現在では何もつながっていない。

中には、ここにスキャナや特殊な機器を接続している方もいらっしゃるようで、 PC更改時の問題になるようだが、幸いにもそういったものは使っていないので、 その手の問題は無くて済む。

まとめ

さて、結局 MO メディアのサルベージが大きな課題であるが、 PC 更改までに順次実施していけば何とかなるだろうと思っている。 また、SCSI HDD のバックアップとデータ消去を早々に実施したい。 それらが完了すれば、晴れて PCI バス、SCSI、MO、古い HDD からフリーになる。 他にも最新マザーボードには存在しないインタフェースがあるが、 それらについては回を改めたいと思う。