現代的なケース
前々回購入した電源ユニットが、 前回、ケースに取り付けられなかった件の続きである。
ケースに取り付けられないのは仕方が無い、 現代的な電源ユニットには現代的なケースがお似合いだろう。 というわけで、ケースを新調することも考え、 実際にショップへ見に行ったりもしてみたが、 どうもこれといってシックリくるものが見つからなかった。 とはいえ、MT-PRO2000と現代的なケースでは、 何が違うのかについては、ある程度見てくることができた。 まず、MT-PRO2000の時代はケースに電源も付属していることが 多かったように記憶しているが、 現代では少なくとも同じぐらいのサイズのケースでは電源別売が普通のようだ。 それだけケースと電源で規格の標準化が進んだ、ということだろう。
次に、現代的なケースの電源搭載部を見てみる。 電源ユニットは重いからなのか、 一番下に搭載するようになっているケースが結構あった。 この場合、電源ユニットの冷却ファンは上に向けて設置し、 下からケース内の廃熱を吸い出して排気することになるのだろうか。 普通に考えると、熱は上のほうに上昇していきそうだが、 これとは逆向きの廃熱になるので、少々気持ち悪い。 もしかしたらケースの底に穴が開いていて、 そこから吸気するように設置するのが正解かもしれない。 いずれにせよ、電源ユニットを一番下に置くことになるので重心的には安定するし、 なにより電源ユニットを浮かなくて済むので下から支える部材が必要ない。 一方でMT-PRO2000と同様の、上に搭載するようになっているものもあった。 この場合は電源ユニットの冷却ファンは下に向け、 上からケース内の廃熱を吸い出して排気することになる。 しかし、電源ユニットをケース上部に固定するために、 ネジ等で支えなければならず、 構造次第だが支持部材の負荷が心配になる。
そして、背面パネル開口部の形状は、どのケースでも同じような形になっていて、 ケースを固定するネジ穴の位置以外は大きく開放されている。 ネジ穴の位置も180度回転対称にしてあって、 電源ユニットを上下どちらの向きでも取り付けられるようにしてあるのが多いようだ。
他にもいくつか違いがあった。 現代的ケースは十数センチのケースファンを取り付けることができ、 開口部も細かいメッシュ状になっていたりして、 通気性や静音性が高くなるように配慮しているようだが、 MT-PRO2000の標準ケースファンは80 mm (一回り大きいファンが取り付けられるような穴があるにはある)、 開口部もデザイン的な理由か、加工上の理由か、 メッシュに比べると通気性や静音性が落ちそうな形状だ。 また、現代的なケースだと前面にUSBポートや カードリーダーが付いているものも多々あったが、 MT-PRO2000には付いていない。 逆にMT-PRO2000には3.5インチのオープンベイが2つあるが、 現代的なケースには用意されていないものが多い。
先人の業績
結局、踏ん切りがつかなくて新しいケースは購入しなかった。 一方で、MT-PRO2000を使っているほかの人たちはどうしているのだろうか。 気になって少し検索などしてみたところ、いくつか事例が見つかった。 あきらめろ、的な内容もあったが、 MT-PRO2000を加工 した記事も見つけることができた。 そう、アルミなんだから加工は比較的容易。 自分で穴を開けてしまえばいいのだ。 ただし、ここで念のため。アルミの加工をした経験があって、 工具もそれなりに揃って いるのであれば、やってみるのもよいと思うが、 そうでないなら、やはりあきらめるのが肝要かと思う。
ケース加工
背面加工
まず、先人に習って背面を加工することにする。 電源ユニットを入れてみて、固定用ネジ穴にできそうな部分を残し、 その他の穴を利用してなるべく大きくカットできるように、 マジックで切り取る部分を記入した。
次に、加工のために、外れる部分はすべて外して、 アルミの部分だけにする。
そして、ドリルで穴を開けていく。
穴をあけたところを、ペンチでねじ切る。 途中から糸鋸も使ってみた。
このままだとバリが尖っていて触っただけでケガするので、 棒ヤスリでバリを取り、粗い目の布ヤスリをかけ、 最後に細かい目の布ヤスリでなめらかに仕上げた。 たまたま手元にあった棒ヤスリが丸いものしかなかったため、 綺麗な直線に仕上げることができなかったが、 切断面に触ってもケガしたり引っかかったりしない程度には仕上げた。 見た目はともかく、実用上は問題ないレベルだと思う。 ここまでで、AC電源コードの抜け防止パーツを取り付けられるようになったが、 まだネジ穴がズレているので、電源ユニットを固定できない。
底面加工
続いて電源ユニット固定できるようにするため、また、 底面ファン開口部を広げて冷却効果を上げるため、 電源ユニット搭載部の底面を加工する。 電源ユニットの荷重がかかるところなので、 完全に撤去してしまうわけにはいかない。 ある程度アルミを残しつつ、開口部が大きくなるよう、 マジックで切り取る部分を記入した。
背面と同様に加工し布ヤスリで仕上げ、電源を載せてみた。
多少干渉してしまっているものの、ファンの開口部を 概ね露出させることができた。 今回の図7(加工後に電源ユニットを載せたもの)と 前回の図7(加工前に電源ユニットを載せたもの) を比較してみると、開口部の大きさの違いがよくわかるだろう。
とりあえず完成
底面が干渉しなくなったため、その分、電源ユニットが下がり、 ネジで固定できるようになった。左下と右下の2ヶ所でネジを固定した。 左上は、ちょうどいい位置に穴をあけられれば固定できそうだが、今回はパスする。 右上は元々ネジの位置が開口部になっていたため固定できないが、 とりあえず2ヶ所固定できていれば問題ないと思っているし、 いずれ左上にも穴を開けて3ヶ所固定にすればなおよいだろう。
使ってみて
残りの部分もすべて組み立てなおし、使ってみたところ、特に問題なく使用できた。 騒音は元々使っていた電源ユニットも静音タイプだったため、 ほとんど変化が感じられないかった。 あとは、前回述べた、 突然リセットされるという現象についてだ。 この加工を行ったのは秋も深まった頃だった。 それから現在まで、ほぼ一冬経過したが、完全に収まってしまった。 いいことづくめである。ただし、加工した翌日は全身筋肉痛であった。
あとは、Haswell化の際にでも角型のヤスリでもっと綺麗な平らに加工するとか、 背面左上にもネジ穴を開けて3ヶ所で固定できるようにするとか、 してみたいと思っているが、面倒くさくて、このまま使うことになるかもしれない。