正式リリースされました
Texinfo 6.3 がリリースされました。拙作の XeTeX や LuaTeX で Unicode がまともに使えるようになる機能と、日本語 PDF 出力できる機能が入ってます。 https://t.co/cin0MffXVq
— TrueRoad (@trueroad_jp) 2016年9月13日
Texinfo で日本語 PDF を生成 や 本家 Texinfo に取り込まれました で紹介させていただいていた、日本語 PDF 生成に対応した Texinfo が、ついに正式版 Texinfo 6.3としてリリースされました。
NEWS にある、下記 3 点が拙作のものになります。
- Support added for native UTF-8 support with XeTeX and LuaTeX.
- TeX エンジンに XeTeX や LuaTeX を使ったときに、 Native Unicode が使えるようになりました。 日本語に限らず様々な言語で使うための基本的な機能になります。
- Support of PDF output with XeTeX improved.
- PDF を XeTeX で生成しても、pdfTeX で生成した時のように、 紙サイズが正しく設定されたり、リンクが機能したり、 しおり(アウトライン)が付いたり、色がつかえるようになりました。
- You can use a new file doc/texinfo-ja.tex for Texinfo documents in Japanese. doc/short-sample-ja.tex is a sample document. New support file doc/txi-ja.tex for Japanese.
- 一点目の Native Unicode 対応をベースに、 日本語用のパッケージを読み込んだり、日本語フォントの設定をしたりする ファイル群が追加されています。 これにより、日本語 PDF が生成可能になっています。
Texinfo とは
Texinfo は GNU の公式文書フォーマットです。 1 つのテキストファイル(Texinfo ソースファイル)から Web (html), info, PDF など、複数の形式で出力ができます。 GNU に限らず、 様々なフリーソフト・オープンソースソフトのドキュメントに使われています。 例えば、楽譜作成プログラム LilyPond の Web page やマニュアルは Texinfo で生成されたものです。
使い方
環境やだいたいの使い方は、 本家 Texinfo に取り込まれました に書かせていただいていますが、
- TeX Live 2016 を日本語が使えるようにインストールする
LuaTeX で使えるようになります。 - TeX Live 2012 以降を日本語と中国語で使えるようにインストールする
XeTeX で使えるようになります。 (XeTeX の場合、 本来中国語用だけど日本語用にも使える、 というパッケージを使っているためです。)
ですので、TeX Live 2016 を日本語と中国語で使えるようにインストールすれば、 LuaTeX でも XeTeX でも使えるようになると思います。
Texinfo ファイルの作り方
Texinfo 6.3 には、日本語のサンプルファイルとして、 short-sample-ja.texi が同梱されています。 最初は動作テストも兼ねて、 これをそのままコンパイルしてみるとよいと思います。 うまくいったら、中身をいじってみたりしながら、 あれこれ試してみるとよいと思います。
一応、Texinfo ファイルのちゃんとしたマニュアルは、英語ですが あります 。少々古いようですが日本語のものもあるようですので、 ググって探してみるとよいでしょう。 バージョンが違っても、書き方は大きく変わっていないはずですので、 かなり参考になると思います。
なお、Texinfo という名前で TeX をバックエンドに使ってはいますが、 TeX や LaTeX の文法とはかなり違います。 TeX がバックエンドとして使われるのは PDF を生成するときだけで、 html 等を生成するときには TeX は使われません。 何か凝ったことをしたいとかでない限り、 普通に使っている分には TeX 言語の知識は不要と思います。 ただ、それだとエラーメッセージが出た時に何が何だかわからない、 ということにはなる、かもしれません。。。
他に、LilyPond をはじめ、日本語で書かれた既存の Texinfo ファイルが結構あると思います。 そういうものを参考にしてみるとよいと思います。 ただし現時点で、 既存のものは LilyPond も含め、 拙作の日本語対応を前提にしていないものがほとんどですので、 本家 Texinfo に取り込まれました で書いたように、多少書き換える必要があると思います。
また、下記の github リポジトリに、他の日本語 texi ファイルのサンプルや、
実際に生成した PDF なども置いてあります。
https://github.com/trueroad/texinfo-sample-jp